【初出勤】デビュー当日

面接に通過し、研修を終え、自分のHPが出来上がるとすぐに予約の電話がなった。

初めてのセラピストの仕事まで2日程余裕があったので研修で学んだことを繰り返し頭の中でイメトレ。

ひとまず流れは頭の中に入ったので最終持ち物チェックを行って家を出た。

待ち合わせの場所まで電車に揺られながら、不安で頭がいっぱいになる。その不安はどんな人が来るんだろう、嫌な人じゃないかな、と言ったお客さまに関する不安ではない。

しっかりと自分は仕事ができるのか、ミスしないかといった自分に対する不安だった。

時間の15分前に到着したので、待ち合わせ場所から少し離れた場所で待機してホテルまでのご案内の道のりをGoogleマップで最終確認。

あまり来たことがない街でそこのラブホテルは人生で一度も行ったことがなかったので何度もマップをみて頭に道のりを叩き込む。

そして時間が来たので5分前に待ち合わせ場所に移動して、お客さまが来るのを待った。

道の右と左を交互に見ながら、あの人かな?いやこっちの人か?と通り過ぎようとする人を目で追いかける。

どんな人が来るか、年齢も体型もわからないが、事前にメールでやりとりしていた服装だけを手がかりにキョロキョロとひたすら周囲を見渡す。

すると、メールで聞いていた服装の人が道の向こうから近づいてくるのが見えた。

ふくよかな体型をした30代半ばと思われるメガネをかけたスーパーの魚売り場コーナーで夕飯を吟味してそうなおばさんだった。

「はじめまして、A子さんですか?」と声をかけるとすぐにA子さんはうなづいた。

挨拶を済ませホテルへと向かう。行くホテルは事前にメールで指定されていたので頭に入れておいた道のりを思い出しながらホテルへ向かう。

「今日がこの仕事初めてなんです!まだわからないことばかりでご迷惑をおかけしてしまうかもしれませんが、宜しくお願いします!」と伝えると、

「私が初めてなんですね!宜しくお願いします。細かいことは気にしないから大丈夫ですよ」と言って頂けた。

優しそうな人でとりあえず一安心しつつも、まだまだ緊張が解れないうちに世間話をしているとすぐにホテルに到着した。

受付で部屋を決めて部屋代の支払いをお客さんが済ませいよいよ部屋に入り、まずは本日のお代をいただいた。

そしてシャワーやらベッドやらアメニティやらと研修で学んだことを思い出しながら準備をはじめた。

緊張してテンパってしまい頭が真っ白になり、何度もイメトレしたはずなのに何をすればいいかわからなくなった。

部屋から死角のバスルームに入りとりあえず深呼吸し落ち着くとだんだんと思い出してきたので、気を取り直して準備を再開。

準備を終えたのでソファで待つお客さまの隣に座りカウンセリングを始めた。

好きなことや苦手なことしてほしいことやしてほしくないことなど雑談を交えながら一通り質問をしていく。

ふと時計を見ると既に1時間近く経過していた。予約時間は2時間なのでもう既に半分の時間が経過している。

やばい。時間配分ミスった。とりあえずエロいことは最低限しようと思い、肩を寄せ距離を縮めて雰囲気を一気にエロモードに変える。

キスをしてFカップくらいありそうな胸を揉むと声を漏らし初めてこのまま始まりそうな雰囲気になったが、そうだ次はお風呂だと覚えたことが頭をよぎる。

中断してお風呂を促しシャワーを浴びてもらい、交代で自分も入った。

裸にバスタオルだけ巻いた状態でベッドに横になってもらいオイルマッサージを始める。

研修で学んだ通りにぎこちない指を滑らせて全身をなんとかマッサージし、いよいよ性感マッサージに入っていく。

マッサージから性感マッサージの流れは境界がない。

太ももから秘部の際どい部分のマッサージまで徐々にエロいマッサージに変わっていき、気づいたら愛撫になっているという状況が自然だ。

キワキワのところをマッサージしている時に、ふと指が秘部をかするとヌメっと暖かいとろみのある液体が指についた。

この時にはすでにお客さんのカラダは火照り、出来上がっていたのだ。

セラピストとして平静を保たなければならないところなのだろうが、ド新人の初接客ということもあり、一般男性と寸分変わらず興奮してしまった。

ドクドクと鼓動が速くなり、体温が上昇するのを感じる。

今度はもう一度、さっきよりもしっかり秘部に指を擦り付けるように太ももを撫でた。

するとカラダはビクッと動き、「あっ」と声が漏れたのが聞こえた。

そこからは堂々とトロミのある秘部に触れ完全にマッサージから前戯の雰囲気に切り替わった。

今までの人生で経験してきたSEXや雑誌やAVで知っている全知識を総動員して、ド新人ながら持てる力を全部振り絞った前戯をおこなった。

研修で学んだフェザータッチや愛撫、クンニを行っていく。

特に、クンニリングス(通称クンニ)は性感マッサージの醍醐味の一つといえる。

一般的には、女性が男性の性器を舐めるフェラチオは良くあることだが、男性が女性の性器を舐めあげるクンニはしたがる男性が少ない。

中には一度もされたことがないという女性も少なくないだろう。

基本的に性感マッサージではクンニは必須となっている。

かくいう自分も元々あまり好きじゃないので、あまりしたことはなかったが、研修で学んだことを念頭におき、女性の股に顔を埋める。

男女の性器の形の違いからか、クンニをすると口の周りがネチョネチョとした液体でグッチョリする。

慣れない感覚だが、セラピストになった以上、するしかない。

覚悟を決めて犬のように貪るように、かつ、優しくがむしゃらに舐め上げた。

そうこうしていると、お客さんが自分の竿をつかみしごき始め、入れてほしいと言ってきた。

もちろんお店の規定では、本番行為は禁止となっている。

だがしかし、ド新人というのもあって、うまい断り方が浮かばなかった。

しかもそれなりに元気になってしまっていて、結局お客さんの要望通りにしてしまった。

これも「新人あるある」なのかもしれない。

ことが終わると抱きしめて時間まで頭を撫でる。

男にはやりたくて仕方ない時と、そこまでやりたくないがカラダが反応してしまって妥協してやる時があるが、後者だった。

射精するので気持ちいいことには気持ちいいのだが、プライベートのSEXの悦びとは違うものだった。

なんとも言えない感情を胸に抱きながらも時間が来たので一緒にシャワーに向かった。

身支度を済ませてホテルを出ると、最寄駅までお客さんと手を繋いでお見送りし、初デビューを無事終えたのだった。