■ 甘えることは、意外と難しい
施術後、布団をかけてあげた瞬間にお客様がつぶやいた。
「こんなに人に甘えたの、初めてかも」
その言葉には、驚きと、少しの照れ、そして安心が混じっていた。
甘えるという行為は、一見簡単に見えるが、本当は非常に繊細で勇気のいる行動だ。
■ 「甘えられる空気」をどう作るか
大切なのは、「甘えていいんだ」と思える空気を先にこちらが作っておくこと。
求めすぎず、察しすぎず、ただ相手のリズムに沿うように寄り添う。
そうすることで、“自分を預けても大丈夫な場所”という認識が生まれる。
セラピストはただの施術者ではなく、そうした空間づくりのプロである必要がある。
■ 心が解けると、体もほどけていく
施術の中で少しずつ緊張が抜けていく様子は、触れていてよくわかる。
肩の力が抜け、呼吸が深くなり、視線が自然になる。
それらの変化を受け止めながら、こちらも丁寧に触れていく。
心が解けるとき、体も素直に反応する。それは、技術だけでは作れない“安心”の証だ。
■ 甘える=弱さではなく、“信頼”の形
多くの女性が「迷惑をかけたくない」「自分で何とかしないと」と思いながら生きている。
そんな中で、誰かに甘えるという行為は、決して弱さではない。
むしろ、心を開いて相手に信頼を預けるという、強さの一つだと思っている。
だからこそ、「甘えられた」ということに、私は深い意味を感じる。
■ まとめ:甘えられる空間は、生きる力を回復させる
「こんなに人に甘えたの、初めてかも」――その言葉の裏には、積み重ねてきた緊張や孤独がある。
セラピストという仕事は、その重さごと受け止める役割でもある。
甘えられることで、人は少しずつ自分を取り戻していく。
その力になれるのなら、この仕事を、続けられる限り続けたい。
