■ 「怖いです」の一言に、空気が止まった
初めてのお客様。問診を終え、施術に入ろうとしたその瞬間、彼女は小さな声で言った。
「触れられるのが…少し、怖いです」
動きを止め、すぐに彼女の目を見て「無理はしないから大丈夫」と伝えた。
その場の空気が一瞬、静かに張り詰めたのを覚えている。
■ 触れる前に必要なのは、“信頼の土台”
女性用風俗に来るすべての人が、最初からリラックスしているわけではない。
多くの人が「自分の感覚を信じていいのか」と不安を抱えている。
だからこそ、技術の前に大切なのは“安心できる空気”をつくることだ。
触れることは、信頼関係の結果であって、出発点ではない。
■ 「やめてもいい」と言える空間をつくる
怖さを言葉にしてくれたこと自体が、彼女の勇気だったと思う。
私はその勇気を裏切らないよう、すぐに「今日はやめてもいいよ」と伝えた。
結果的に施術は少しずつ進んだが、その日の目的は“触れること”ではなく“怖くなかったという記憶”を残すことだった。

■ 「触れることの再定義」が求められる仕事
この仕事では、“触れること”の意味を常に問い直す必要がある。
快感や癒しの前に、その人にとって「自分の境界線を尊重された」という実感があるか。
それがないままの施術は、相手にとって負荷になりかねない。
安心があって初めて、触れることは癒しに変わる。
■ まとめ:本当の癒しは、信頼を築く過程にある
「怖い」と言ってくれた彼女の言葉が、今でも心に残っている。
あの日の施術は、私にとっても初心に戻る時間だった。
この仕事において本当の癒しは、触れる技術ではなく、信頼を積み重ねていく姿勢に宿る。
それを忘れず、これからも女性の感覚と真剣に向き合っていきたい。