■ 誰にも見せていない“素”を、ここでだけ出せる
その夜のお客様は、初めてではなく何度か会っていた方だった。
施術後、静かに泣きながら「本当の自分を見せられるのは、あなたしかいない」と言った。
それを聞いてすぐに言葉を返さず、そっと手を握った。言葉よりも触れ合うことの方が、深く伝わる瞬間がある。
■ 「いい人」や「しっかり者」を脱げない女性たち
社会の中で、自分の役割や期待に応えることで“評価”されてきた女性ほど、自分の感情を抑える傾向がある。
泣きたくても泣けず、甘えたくても甘えられず、誰にも頼れない。
そんな状態が長く続いたとき、“何も演じなくていい場所”が必要になる。
女性用風俗の場は、その希少な逃げ場であることがある。
■ 「見せられた」という事実が、その人を肯定する
自分の弱さ、脆さ、素直な感情をさらけ出したとき、それを否定せずに受け止められる体験は、人生を変えるほどの力がある。
セラピストとして重要なのは、その瞬間を“正解”にしてあげること。
「見せてよかった」と思ってもらえるように、全身全霊で受け止める。
■ 涙は感情のデトックスであり、関係の証
涙を流すという行為には、理由が必要だ。
安心、信頼、許容。そのすべてが揃わなければ、涙は出ない。
泣かれるということは、その人の心に触れられたという証拠であり、セラピストとして何よりの信頼のかたちだと感じている。

■ まとめ:「本当の自分」に戻れる場所でありたい
「あなたしかいない」と言われた時、この仕事の価値を改めて実感した。
セラピストという職業は、施術を通じて癒すだけではなく、誰かが“自分自身に戻る”きっかけを与えることもできる。
その責任と誇りを忘れずに、今日もまた誰かと向き合っていく。